ドリームジャーニー 1st

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ドリームジャーニー 1st 何度目かのデートは光の希望で飛行場に行く事になった。 羽田に向かう藤間の運転する車の中で、 「 光は飛行機に乗りたいのか?」 と聞く藤間に、 「 俺、旅行したことないから 」 と少し困ったように答える光。 藤間はその短い親子の生活の間に一度も旅行に行ってないことを思い出した。 「 そうだったな……悪かった。 そんなことも俺はしてなかったんだな 」 というと、光は驚いたように藤間を見上げ、 「 ちがうよ、残念になんて思ってないから、、 ゆめはあるけど、どっかに行きたいって、 で、でも こ、恋人になってから一緒に行けたら、嬉しい 」 と最後は小さな声で恋人という言葉を紡ぐその口を、路肩に車を止め藤間はたまらず塞いだ。 なんて可愛いんだ、俺はどこまで我慢できるんだろう。 手に入れたい。俺を揺さぶるこの子悪魔を身体ごと全て手に入れたい。 胸に抱いたその良い香りのする頭部にキスを繰り返し、 藤間は光を連れて飛行場の見えるホテルに一泊することを早々に決めた。 暫くそのサテライトから飛行機の離着陸を熱心に見ていた光。 ランチを食べたレストランで、 もうたっぷり見た。 凄く沢山の飛行機が次々飛んで、 あんな重そうな機体が空に飛び立って行くのって凄くない? と嬉しそうに話す光を連れて 空港そばのホテルに向かう。 ビジネスより格上のホテルのラウンジでデザートにケーキを選ぶ光を眺めながら、 本当にこれはデートなんだなと改めて確認する。 シュークリームのその乳色のクリームを乗せた蕩けるようなその舌を早く味わいたくて堪らなくなる。 はやる気持ちが抑えきれない自分。 こんな気持ちは初めてだなと少々あきれながらコーヒーでその気分を飲み干すと、かえって下腹に欲望の澱が溜まったのがわかった。 部屋はなるべく上の階をとフロントに告げ、空港を一望に眺めることのできる5階の部屋を取った。 部屋に入るなり通路の毛足の深い絨毯にそれまで少し気圧されたように目が泳いでいた光が一目散に全面の大きなガラス窓に張り付く。 目的はほぼ達成した。喜ばせようと思ったその通りの反応する光がただただ可愛い。 暫く熱心に外を眺める光を藤間は見ていたがやはりそろそろ事は先に進めたかった。 窓に近づき耳元で囁いた。 「 一緒に風呂に入るか?」
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