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渋いジャズに隠れるような、涙声にすら聞こえる、かすれ声。やつれたように見える横顔。
これまでずっと、カラフルな風船の中身は、夜の海みたいな絶望だったんだろうか。そんなはずはないだろう。
俺は、決めた。
「つらいだけなら、そんなのやめちまえよ。なんで一緒にいるんだよ」
バシッと一発、大ちゃんの肩をたたいてバーを出る。
大ちゃんがどう受け取るのかなんて、どうでもいい。今はただまっすぐ、純さんのとこに帰るだけだ。
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