地獄では時間がかかる

地獄の獄卒たちは悩んでいた。
罪人たちによりよい罰を与え反省と内省を促すために、罪人を虐待して来たのだが、ずっとこれでいいのかという話になったのである。
「問題はだなぁ、我々も自分のことをかっこいいと思うが、死人どももかっこいいと思う場合があることだ」
「そもそも不公平なんだよな。世の中には俺たち地獄の鬼たいなムキムキな男に拷問されることをご褒美と感じる変わった人間もいるんだ。そういう人間と、そうでない人間との間には、不公平が生じる」
ここは地獄。
生前悪いことをした亡者が罰を受けている場所である。
地獄の獄卒とは、地獄にいる鬼たちのことで、彼らは閻魔様のさばきを終えて地獄へ来た死人たちを、逃げ出さないように見張ったり、血の池に落としたり、金棒で叩いたりしていた。
見た目は大柄で屈強な体格の人間で、鬼によっては赤かったり青かったり、角が生えていたり、虎じまのパンツだったり、藁の腰巻きだったりしたが、そのスタイルは何千年も変わっていなかった。