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「ひぃぃいいいいい、ぎゃあああああ」
そもそもまともに喋れるような罪人は地獄にはほとんどいなかった。
獄卒たちが話を聞こうとしても大抵のものは逃げ惑うのみである。
獄卒たちは話を聞くのを諦めようとしたが、1人、話ができる罪人が見つかった。
名前はキタと言うらしい。
「たしかに、鬼以外の方が怖い人もいるかもしれませんねぇ」
キタは剣山にぶすぶすつきささったまま座禅をくんでいる。
「でもまぁ、こうして責め苦が始まってしまった後って、獄卒の姿はあまり関係ないんですよね、むしろ獄卒の役割は自分たちはきちんと管理されていて逃げられないと、死者や生者に知らしめることじゃないんでしょうか?」
「生者?」
キタは言った。
「そうですよ。地獄の目的は生者に悪いことをするとこのような目に合うと、知らしめることです。だからわかりやすいスタイルを必要としているのはむしろ生者だといえますね。地獄まで来てしまうと正直どんな姿でも構わないと思います」
獄卒たちは顔を見合わせた。
「まぁでも、現場のモチベーションの維持の点もあるし、あなたがたも各々何か違った姿になりたい希望もあるかもしれない。とりあえず閻魔様に意見を言ってみたらどうですか?」
「なるほど」
「それもそうだな」
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