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獄卒たちは、キタの話を聞いてうなずいた。
しかし、獄卒たちは、結局閻魔には相談しなかった。
なぜなら、獄卒たちの現状に対する不満はそれほど大きいわけではなく。閻魔様に相談する相談をしたということで、獄卒たちの小さな不満も解消されてしまったのである。
「なるほど、これが地獄が変わらぬ理由なのですね」
キタは剣山の上で頷いていた。
「あなたがたは鬼という恐ろしい姿をしているが、中身は地上の人間の方がよほどドロドロとしていて恐ろしい」
その時キタを責めていた獄卒は尋ねた。
「お前は、なんでそんなにしゃべることができるのだ。他のものは皆理性を失っているのに」
キタは獄卒の言葉ににやりと笑った。
剣山の上に突き刺さったまま笑う罪人はなかなか迫力があった。
「私は、生きてる頃から荒業をしていたのです。自分を鞭打ったり、死ぬぎりぎりまで断食したり。つまりあなたがたが危惧する、拷問を喜ぶ人間の一人と言えるかもしれません」
「趣味なのか?変態というやつか?」
「趣味ではなく、修行です。拷問されて性的に興奮するわけではないですし、あなた方がどんな姿かは関係がないので変態かどうかは判断に迷うところですが、変人ではあるでしょう」
「お前は地獄にいることを楽しんでいるのか?」
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