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「・・・・なんで人を殺してみたいと?」
「なんででしょうね。好奇心でしょうか。私の前の世代には激しい戦乱があり、まだその経験者が生きていた。私は彼らの経験を羨ましく思うところもあった。それに修行です。人を殺して反省とか改悛の情とか、そういうものを体験してみたかったのです」
キタは剣山の上でふひゃひゃひゃと笑った。
「多少は味わえました。でも私の求めていたものとは違うような気がしました」
「そうなのか・・・?」
「というようなことをお裁きの時に閻魔様に喋ってみると、とりあえず、剣山の上に座る荒業を続けるといいとおっしゃられました。だからこれはこれで公平だと思うのですよ」
「・・・・ふむ」
獄卒は、キタと話しているうちに新たな疑問が湧いたので訪ねて見た。
「そうしたら、我々はどうなのだ。我々も何度も悪いことをした死人を殺しているぞ。まぁもう死んでるから死なないけど」
地獄では責め苦に死人の体がバラバラになってもどこかから生暖かい風が吹き再生して、また責め苦が続くのである。
「感覚的には死ぬような目にあいますね。でも、あなたがたは獄卒で人ではないので、人間のように罪にはならないのではないでしょうか?」
「そうなのかな?でもなんだか納得できないな」
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