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そうこうしているうちに8時になった。
地上征服作戦の次のフェーズに入る時間だった。
次のフェーズには入れない。
総統閣下からの伝令を伝えるしかない。
それはドンメル元帥にとって、生まれて初めての重い決断だった。
「でっだいぃぃ」
ドンメルは大声で言い放った。
撤退、と言いたかったのだ。
バリッ、
大きな音が洞窟に響いた。
紫外線侵入防止壁の一部が取り払われた。
何故だ、と、ドンメルは思った。
紫外線侵入防止壁を取り払うためにドンメル元帥の命令の発動を今か今かと待ち構えていた将兵が2名。ドンメルから発せられた命令を「STOP」ではなく「GO」と聞き間違えたのだ。
まばゆいばかりの光が差し込んできた。
何故だ、と、ドンメルは再び思った。
これは後年になって判明することだが、毒霧の黒色が紫外線を遮ることは無かった。太陽光を遮るには、霧の濃度が薄過ぎたのだ。
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