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「お待ちしておりました」
白い人はもう一度そう言った。
「紹介が遅れました。私たちはルラ・マーズ。あなたたちの言語では火星人と呼んでいただいても差し支えありません」
火星人。
ここは火星なのか。
「私たちはルラ・マーズ。ルラの遺志を継ぐもの。ルラ・ギャラクシーの末裔」
ルラ。ルラの末裔。
「あなたたちルラ・アースの兄弟です」
兄弟。ルラ・アースの。
「私たちは待っていました。あなたたちルラ・アースがここに来るのを。この火星まで私たちルラ・マーズを訪ねてきてくれるのを」
いえ、僕は、とランクスは思った。
あなたたち火星人を訪ねるのが目的ではなく。
僕は火星有人探査船に乗った。
それは地上人が作ったものであり、火星の探査が目的であって、
「あなたの意志、ルラ・イムは何ですか」
ルラ・イム。
意志。
僕の意志。
「それは」
とランクスは口に出して言った。
「宇宙へ行くこと」
「そう。だからあなたはここへ来た。あなたのルラ・イムの結実」
ルラ・イムの結実。
「ルラ・イムは結実する。そのようにできているのです。それがこの銀河の法則」
銀河の法則。
「銀河はルラ・ギャラクシーが創ったもの。火星はルラ・マーズが創ったもの。地球はルラ・アースが創ったもの」
地球はルラ・アースが創った。
「そう。銀河はルラ・ギャラクシーのためにある。そして火星はルラ・マーズのためにあり、地球はルラ・アースのためにある」
地球はルラ・アースのために。
「ルラ・イムの実現。そのために銀河はあり、火星はあり、地球はあります」
そこまで説明すると、白い人は黙った。
黙って僕の目を見た。
「あなたがしたいことがあなたのルラ・イム。それが実現するのが銀河。火星。地球」
更に見る。
僕は見られている。
僕の目を。
僕の目の奥を。
僕のルラ・イムを。
「あなたが次に実現したいことは何ですか」
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