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「肉をくれ」
そう言っているのは向こうの檻か。
「腹減った」
「肉」
「肉が食いたい」
私は鉄でできた太い檻の棒を何本か切断した。
「肉」
「肉」
「肉」
そう言いながら、白熊が檻から出て行った。
「ここから出せ」
「とにかくここから出せ」
そう言っていたのはオオカミだった。私はオオカミの願いをかなえてあげた。
「殺してやる」
「人間を殺してやる」
人間に恨みでもあるのか。私はスマトラ・サイを解放した。
「海だ」
「海で泳ぎたい」
海までは遠い。そう思ったが、コビトカバも行かせてあげることにした。
その他にも生まれ故郷のサバンナを思っていた黒豹や壁の向こうの世界に憧れていたアムール虎、新鮮な貝を欲しがっていたラッコ、などなどを檻から解放した。
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