其の9 無敵の人

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 「ルラ・ダ・ガンツ」  野太い声がそう言っている。  それがこの野太い声の主の名なのだろう。  ルラ・ダ・ガンツ。  私の心に自己主張を続けるこの野太い声の主。  破壊を欲しているのか。  破滅を欲しがっているのか。  「お前の意志だ」  その声は言う。  私の意志?  私が破壊を?  「お前のルラ・イム。お前の意志」  いや。破壊は違う。私の意志ではない。  私はただ。  帰るだけだ。  地底へ。  テツムネ老師の元へ。  「撃て」  「撃て」  「撃て」  またか。今度は何だ。迫撃砲か。バズーカか。  私の正面に鉄の板の壁が築かれていた。装甲車両が数台。その後ろに隠れている剥き出しの敵意達。  私は腕をかざした。  ボウ。  一瞬、辺りが昼間のように明るくなり、アスファルトが溶ける匂いと肉が焦げる匂いがした。  「火だ」  と、ルラ・ダ・ガンツと名乗るその野太い声は言った。  「火の力だ」  私は火の力を身に付けた。これは便利だ。いちいち前方に立ちはだかる障害物を避けなくてもいい。私は少し興奮した。  「進むがいい」  ルラ・ダ・ガンツは言う。  火の力を得た我々は進む。  意気揚々と進む。  動物たちの行進だ。
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