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「ルラ・ダ・ガンツ」
野太い声がそう言っている。
それがこの野太い声の主の名なのだろう。
ルラ・ダ・ガンツ。
私の心に自己主張を続けるこの野太い声の主。
破壊を欲しているのか。
破滅を欲しがっているのか。
「お前の意志だ」
その声は言う。
私の意志?
私が破壊を?
「お前のルラ・イム。お前の意志」
いや。破壊は違う。私の意志ではない。
私はただ。
帰るだけだ。
地底へ。
テツムネ老師の元へ。
「撃て」
「撃て」
「撃て」
またか。今度は何だ。迫撃砲か。バズーカか。
私の正面に鉄の板の壁が築かれていた。装甲車両が数台。その後ろに隠れている剥き出しの敵意達。
私は腕をかざした。
ボウ。
一瞬、辺りが昼間のように明るくなり、アスファルトが溶ける匂いと肉が焦げる匂いがした。
「火だ」
と、ルラ・ダ・ガンツと名乗るその野太い声は言った。
「火の力だ」
私は火の力を身に付けた。これは便利だ。いちいち前方に立ちはだかる障害物を避けなくてもいい。私は少し興奮した。
「進むがいい」
ルラ・ダ・ガンツは言う。
火の力を得た我々は進む。
意気揚々と進む。
動物たちの行進だ。
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