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だがしかし。
作戦は失敗に終わった。地底帝国軍の歴史的大敗。
何故か。
まず挙げられるのは、毒霧の持つニンニク臭に対して地底帝国人の免疫耐性が無かったこと。そしてそれに対する防備不足である。技術陣が考案した毒霧の防御策は、今回新たに各将兵に装備された鼻栓のみであった。しかし毒霧の威力は想定を超えていた。毒霧は将兵の鼻だけでなく、目の粘膜へも影響を及ぼしたのだ。また、比重が重く設計されていたことと相まって、毒霧のニンニク臭は地上から地下の洞窟へ侵入し、突撃寸前の将兵の目を傷め、士気を奪ってしまった。
次に挙げられるのは、毒霧の紫外線遮蔽性の不備である。計画では、噴霧後地上は紫外線から完全に遮蔽され、暗黒がもたらされる筈だった。しかし噴霧開始から三時間が経過しても、暗黒どころか薄曇りにもならない状態であった。結果、紫外線侵入防止壁の破れ目から差し込んだ強烈な紫外線が、将兵の命を奪った。
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