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しかし。
と、ランクスは思った。
僕は旗など立てていない。
日の丸の旗など立てていない。
火星に行ったらそこは屋敷の中だった。
ルラ・マーズと呼ばれる人たちの。
地底帝国人と全く同じ外観の、ルラ・マーズと呼ばれる人たち。
彼らは言った。「ようこそ」と。
そして僕はステーキをご馳走になったのだ。
その屋敷で。
他のルラ・マーズと共に。
宮廷音楽が奏でられる舞踏会の会場のような白い部屋で。
地球で食べる土豚のような、とても美味しい脂ののった分厚い肉を、ミディアムレアの焼き加減で。
「あなたのルラ・イムが実現される」
「それがあなた方ルラ・アースの星、地球」
「そのために地球はある」
「あなた方ルラ・アースが、あなた方のルラ・イムで創った星、地球」
地上人は、と、僕は言った。
地球には地上人がいます。地上人が地球を支配し、我々は地底に住んでいます。
「それもルラ・イムの実現です」
「あなた方がそれを望んだのでしょう」
「地上人というのは、メニアールの一種に過ぎません」
メニアール?
「ルラは学びのためにメニアールを生み出します。生きとし生けるもの、メニアールを通して、ルラは生を学ぶのです」
ルラがメニアールを生み出す?
「地球はあなた方ルラ・アースが生み出した学びの場です。地球で生きとし生けるもの、メニアールは全てあなた方ルラ・アースが、あなた方の意志、ルラ・イムによって生み出したものです」
メニアール。ルラ・アースが生み出したもの。
地上人も、メニアール。メニアールの一種。
「あなた方は地球で学んでいます。メニアールからも学んでいます。あなた方がそれを欲し、あなた方がそれを生み出し、学んでいるのです」
この会談はルラ・イムを通して行われている、と、白い人は付け加えた。
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