其の2 宇宙統合軍への道

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 何故、技術相として、ヘムラーは冷静な判断の上、本作戦を再検討することができなかったのか。  その理由は歴史である。地底帝国の歴史。ヘムラー家の歴史。歴史が、そうさせてしまったのだ。  地上征服作戦第二陣は、千年前に基本計画が成された。現在のヘムラー技術相はヘムラー家の139世であるが、その祖先、ヘムラー11世がこの計画を立案している。ヘムラー家は代々技術を学び、技術相としてデッドラー総統家に仕えてきた。ヘムラー11世はヘムラー家の誇りであった。これまで、ヘムラー家の祖先の中には、恐らく、現在のヘムラー139世と同じように再計算をし、この計画に疑問を持った者もいたことであろう。しかし言い出すことができなかった。誰もがヘムラー家の誇りであるヘムラー11世を信じ、讃え、その教えを守ってきた。そうすればヘムラー家は安泰であった。祖先にしてみれば、教えを伝え準備を続けるのが自分の役割であって、実際に毒霧作戦を実行するのは自分ではない。実行は遥か後世の子孫の役割なのである。だから、明晰な頭脳を持てば持つほど正しい解答を隠し、間違ったことを後世へ伝えることとなった。ヘムラー139世も例外ではなかった。ヘムラー家の誇りであるヘムラー11世を讃え、教えを守った。それは代々のヘムラー家の祖先達と同じだ。ただ一点、自分が丁度毒霧作戦を実行する世代に当たってしまったということを除いては。
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