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次の日、『カフェー アメリカ』に行き、オーナーの近藤茂夫に仕事をやめることを告げた。
「ロバートの事、聞いたよ。でもやめなくてもいいんじゃないのか?カヨみたいにいい人が見つかるかもしれないし」
珍しく同情するように茂夫は言う。
「いいの。養う家族ももういないしね。畑もあるから一人ならなんとかやっていけるのよ」
「そうか……。まあいつでも戻ってくればいい」
「ありがとう。ここのおかげで生活できたわ。本当に感謝してるわ」
「よせよ。桂花さんみたいないい奥さんがよくまあやってこれたもんだとこっちが感心するよ。言わなくてもいいところの奥さんだってことくらいわかるさ。元気でな」
化粧をすっかり落とし、白いブラウスとモンペ姿の珠子を下から上まで一瞥して茂夫はうんうん自分を納得させるようにうなずいた。
「オーナーもお元気で。ごきげんよう」
ふっと茂夫は笑って背を向け、グラスを直した。
珠子は頭を下げ店を出、外の看板をもう一度眺め呟く。
「グッバイ。アメリカ……」
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