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一人きりになった珠子は少年に救われる思いがする。
自分だけがすべてを失くしたような気がしていた。
生きる気力もなく目的もなくしていた。
彼も同じだ。
しかし彼は生きる選択をしている。
(生きていかなければ……)
今まで家族というものに依存し過ぎていた。
キヨと吉弘が珠子にすがっていたのではなく、珠子がすがって生きてきた。
生きる理由にしていた。
これからは自分のために生きるのだ。
子供の頃に一樹が話してくれた外国の神話を思い出す。
――神から決して開けてはいけないと言われた箱を渡された人間の女は誘惑に負け開けてしまう。
その中には色々な厄災が入っていた。
全て出尽くしたかと思われたが最後に残っていたものがあった。それは……。
(なんだったかしら……)
うろ覚えではっきりしないがおそらく希望だと思い珠子は力強く歩き始めた。
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