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キーンコーンカーンコーン
授業終了を知らせるチャイムが学校中に鳴り響く。
「はぁーやっと終わった。」
宮本陽太(みやもとひなた)は、チャイムが鳴り終わると両手を上に伸ばして体を伸ばす。
新しいクラスになって1ヶ月が経過し、最初の頃の静けさはなく、各々が誰かと話している。
そんな中、陽太には1つ気になる事があった。それは、肩にかかるぐらいの髪を2つ結びにし、眼鏡を掛けて、いつも1人で読書をしている須藤梓(すどうあずさ)の存在だ。須藤はぶっちゃけクラスで浮いていた。しかし、浮いているからといって、イジメとかがあるわけではない。ただ1人で居るのだ。
2人組で何かをする時はいつも余り、班で活動する時は黙って黙々と作業をしている。
そんな須藤を1ヶ月見ていて、最初はこういう子なんだなと流していたが、徐々になんでいつも1人なんだろう?1人で居て楽しいのだろうか?等考えるようになり、気になる存在となっていた。
なので、本日遂に陽太は行動を起こす事にしたのだった。
自分の席をスッと立ち上がると、須藤の前の席に座り話しかける。
「ねぇ、なんの本読んでるの?」
「えっ?」
須藤は本から目を離すと、突然話しかけられた為なのか、それとも陽太が嫌いなのか、少し睨むように陽太を見ると本の背表紙を見せてくる。睨まれたことで一瞬怯むが、諦めず話しかける。
「俺この本知らないわ。面白いの?」
何も口に出さない代わりに、コクりと頷く。
「読書は好きなの?」
再びコクりと頷く。
「そっかそっか」
何も話してくれない須藤の対応に陽太は心の中で、「睨まれたし、会話が続かねぇ~全然心を開いてくれそうな気配がねぇ」っと思った。
なので、ここは一旦退くことにした。
「んじゃ、俺は帰るわ。また明日な、須藤さん」
陽太は席を立ち手を振るが、一瞬こっちを見てコクりと頷いたと思ったらすぐに本を読み出してしまった。
心の中で「俺マジでなんかやったのかな?」っと思いながらも、有ることを思いついたので陽太は帰ることにした。
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