友情の味は?

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 女の友情は当てにならないとは、よく言われることだ。陰口、嫉妬、マウンティング…女だらけの学校や職場は華やかさと共に陰湿さも感じる。そういう部分を誇張したフィクションも多い。多いということはそれだけ需要があるのだろう。いるいる、こんな女…と呟きながら読んでいる女の姿が目に浮かぶ。  対照的に、男同士の友情でそういうダークな面を書いたフィクションというのは珍しい気がする。いや、俺が不勉強なだけで探せばあるのかもしれないけれど、女同士のドロドロした面を書いたものよりははるかに少ないだろう。男同士の友情というと、一緒に部活を頑張って全国大会優勝…とかさわやか路線のほうが多いと思う。 しかし、現実では男の友情も女と同じくらい汚らしいものだと俺は思う。  校舎の屋上で、購買のパンをかじる。まずい。正直、俺はパンとかあまり好きじゃない。母の作った弁当の方がはるかに美味しいと思うのだが、いつもつるんでいる仲間は皆、弁当を持ってこず購買でパンを買っているので俺もそれに合わせている。何よりも、高校生にもなって母の手作り弁当を仲間の前で広げる勇気がない。マザコンとか言われそう。  クラスの中で仲のいい友達は目の前にいる二人である。他の男子ともよく話すが、特にこの二人は一緒に過ごすことが多い。  目の前にいるのが、涼太。名前のとおり、目元涼やかなイケメンである。他校に彼女がいて、いわゆるリア充という奴である。  その隣が、翔。小太りで鈍重そうな印象がある。涼太とは中学から一緒で、彼の腰巾着である。言葉の端々から涼太を立てて俺を貶そうとしているため、正直あまり好きではない。
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