楓のダイエット

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  休み時間中の教室はしゃべり声がひっきりなしにする。先ほどがこうだったらいいのにな、と切実に思った。  始業式は最悪だった。  普段は余裕をもって登校し、トイレで校則禁止のメイクをばれない程度にナチュラルに施し、髪の毛を整え、母親から貰ったCHANELの香水をつける。しかし、今日はそんな余裕はなく、学校に滑り込み、身だしなみが哀れな状態で体育館へダッシュした。このような具合で始業式へ間に合ったわけだが、その後からも地獄だった。  校長の話は毎度のごとく長い。そして、朝食を食べていないおかげでお腹の音がひきりなしに鳴る。おかげで、式が終わった後、クラスメートの男子たちに「さっきお腹なってた奴誰?」と話されてしまった。恥ずかしい。  「それでパン食べてるわけね」  友だちの穂叶(ほのか)は笑った。先ほど購買の自動販売機で買ったパン。購買で売っている、近所のパン屋のジャムパンを一心不乱に詰め込む。ジャムの甘さが学校へ来るまでの疲労を一気に吹っ飛ばしてくれた。  「ごちそうさまでした」  と、同時にチャイムが鳴った。前の席の穂叶は前に向き直った。担任が来たのでパンの袋を慌ててリュックの中に突っ込んだ。  「ねえ、この服かわいくない?」     
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