楓のダイエット

10/20
前へ
/23ページ
次へ
 穂叶がスマートフォンを差し出してきた。映っているのはライダースジャケット。韓国ブランドの通販のものだった。  「かわいい!ほのに絶対似合うよ」  「ありがとう」  穂叶は微笑んだ。頭の上のお団子ヘアにボリュームがあるおかげで、小顔効果で小さな顔がより小さく見えた。昨年までの穂叶とは大違いだ。先ほど撮影したプリクラを見返す。  まるで片手で掴めそうなくらい細いウエスト。スラリと長い脚。プリクラでもこんなに差が出るものか。隣に写っていることが酷く醜かった。  1年生の頃を思い出す。  仲の良い友だちとはクラスが分かれてしまい悲しさと不安を覚えていた時、初めてできた友だちだった。  「話しかけてくれてありがとう。同じ中学から誰もいなくて困ってたんだよ」  席が近かったこともあり、意気投合してすぐに仲良くなれた。なにより食べることが共通の趣味だった。  「マックはおやつだよね」  そう言ってフライドポテトをほおばりながら2人で笑いあった。     
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加