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その時は今よりも痩せていた。体型でいえば中肉中背。小学校、中学校とダンスをやっていて、家から学校までの距離が遠かったこともあり、運動量は多かった方だとは思う。よく寝坊していたため、朝食を食べないで学校へ行くこともしばしばあったが、その分給食を食が細い友だちから貰ったり、帰宅して、夕食後にお菓子を食べていたが、代謝が良かったのか痩せもしなかったが太りもしなかった。
それは、母親ゆずりの体質だ、と思い込んでいた。実際、姉も痩せていて、よく「太らないのいいなー」と、羨ましがられていた。
しかし、高校に入ってその思い込みは一気に打ち砕かれた。高校も近くはなかったが、家の近くから出ているバスで楽々登校。朝、起きる時間が遅くていいのでゆっくりと朝食を食べる。部活は週3日の文化部に入った。そして穂叶と放課後を過ごす。そんな生活で1年で10㎏近くも太ってしまった。穂叶の第一印象は「ぽっちゃりしているかわいい子」と思ったが、そのぽっちゃりにあっという間に追いついた。
2年生になってまた穂叶と同じクラスになった。
しかし、少し変わったことがあった。
「楓、ごめん。金欠で、しばらく放課後遊べない」
最初は残念だ、と思ったが、そもそも母親は料理教室の講師、父親は銀行員で、正直この2つの職業の年収が高いのか低いのか分からなかったが、お小遣いを月1万円貰える時点で他の家庭よりはお金があるのだろう。放課後遊べる分は余裕である。
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