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一方の穂叶の家庭事情は詳しく知らないが、確か父親がいない。つまり、母子家庭で、月のお小遣いは2000円と言っていたような気がする。自分の欲しいものを変えばあっという間になくなる金額だ。毎週のように連れ回していたことを申し訳なく思った。
「いいよ、遊べるときに遊ぼう」
弁当の時は週に何回か2人で菓子パンを買って食べていたのだが、その頃から穂叶からそれが無くなった。それに加え、弁当の量さえも少し減ったような気がした。更に、休み時間にお菓子を勧めても断るようになった。明らかにおかしかったが、口にしてはいけないような気がして何も言わなかった。
そして夏休み、遊びの計画を立て、私服で会った時、その理由がはっきりと分かった。
ノースリーブにショートパンツという格好で現れた穂叶は随分と手足がほっそりしていたのだ。制服は夏服は半袖だが、肘近くまであり、スカートも膝丈なので、よく分からなかった。顔のお肉も消えて言われてみれば輪郭がはっきりしていたが、毎日会っていると意外と気が付かないものだ。
「え…ほの、痩せた?」
「うん…ごめんね」
申し訳なさそうに言われた。謝らなくていいのに、と思った。マキシ丈のスカートで大根足を隠している自分が恥ずかしくなった。同じくらいの体型だが、リップくらいしか施していない穂叶に比べて、メイクに対しては人一倍お金をかけており、女子としては勝っている、と思っていた自分を非難した。
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