楓のダイエット

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 「メリークリスマス」    暗い部屋に灯るロウソク。ふーっ、と息を吹くと日は消え、その場が真っ暗になる。   明かりをつけた部屋でイヴの夜を迎えたことを喜んだ。テーブルの上にはチキン、サラダ、そして真ん中に大きくて真っ白なクリスマスケーキ。これらの豪華な食事は全て母親の手作りだ。   母親は料理教室の講師をしており、その腕前は誰もが羨ましがる程だ。父親はそれに惹かれて結婚を決めたらしい。  「さあ、ケーキを切ろうね」  母親が生クリームたっぷりのケーキにナイフを入れようとしたら、父親がそれを制した。  「先にプレゼントを渡そう」  そう言って自室へ戻っていき、2つの包みを持ってきた。赤色と緑色がクリスマスを連想させる。  「こっちが(さき)で、こっちが(かえで)な」  「ありがとう」  包みを受け取った。姉と共に、その場で袋を開ける。  「うわあ、かわいい」  先に中身を開けた姉が言った。手には淡いピンクのモコモコとしたジャケットを持っている。  「これを見た時、咲ちゃんに似合うんじゃないかなって思ってね」  その場で着て見せた姉は、スラリとした体型に顔が大人っぽいこともあり淡い色がよく似合っていた。     
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