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「は?子豚じゃないんですけれども、パパだってお腹出てるくせに
そんなこと言える資格ありませーん」
「パパ、そんなこと言わないで。楓ちゃんはムートンブーツがあるからそれと合わせたら可愛く着れるよ。早くケーキを切ろうね」
こうやって父親をたしなめるのもお決まりのパターンだ。
着ぐるみ。
確かに姉と比べてはるかに丸い自分が着たらそう見える。昔から体型のことを言われ続けてきたが、最近になって少し気になってもいた。母親や姉と体型を比べられてきて、ダイエットを考えたことがないと言ったら嘘になる。しかし、こんな身近に立派な料理人がいたらそれは無理だと思っている。食べることに勝る喜びはないのだ。
母親の作る料理はやはり最高だった。
高級ワインを開けた父親は母親に1杯それを注ぐと、残りを全て1人で飲んでしまった。そのせいでお腹がいっぱいになってしまったのだろう。チキンは1つ食べ切ったが、1ホールを4等分したケーキは半分程残し、そそくさと自室へ戻っていった。
初めは体型のことを言われ、食べる量を減らそうと思っていたが、料理がおいしすぎて、自分の分はあっという間に平らげた。そして、父親が残したケーキもペロリと食べてしまった。
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