楓のダイエット

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「あーおいしかった。家に帰ってくると戻りたくなくなるよ」   自分の部屋に戻った姉はそう嘆いた。   2つ上の姉は東京の大学へ通っているため、1人暮らしをしていた。夏休みと冬休みの年2回、実家へ戻ってくる。  元々ここは2人で使っていた部屋だったが、姉が出て行ってからは1人で広々と使っていた。姉の勉強机はそのまま残っている。  「なんで?東京のほうがおいしい食べ物いっぱいあるしうらやましいよ」  「そりゃそうだけれどもさ」   姉はゴロンと床に寝転がった。  「まあここもそこそこ都会だし、服もコスメもカフェもあるけれども東京と比べると比じゃないのは分かるよね?」  ガバッと勢いよく起き上がった姉はこちらを見ながら言った。  「でも家に帰るとさ、ここでの生活がどんなに良かったものかわかるよ。バイト終わって家帰っても家事してくれる人はいない。話し相手もいない。ママのごはんには到底及ばない。パパの反対押し切って上京したけれども今少し後悔してるもん」  「そうなんだ・・・」  「だから一人暮ししたいなら考えた方がいいよ」     
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