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「確かに、そういうこともいえるかもしらん。が、今回、俺は草木はもちろん、あいつにも力を使ってなどいないぞ。元々、使ってないのに影響なんてあるか」
「そうですね。意図的には使っていないんでしょうが、力を制御できず、いわば漏れているという状態だったのではありませんか。その場合、相手を滅ぼそうというような意図もないため、予想外の影響を与えていたとしても不思議には思いません。しかし、これもひとつの考えに過ぎませんので、より明確な答えを求めているのならば、悪さん自身で見出すより他ないです。失礼」
まくし立てるように言い捨てると、まーちゃんは分社から出て行った。後を追いかけて、この勝ち目のない問答を続ける気はなく、その場に取り残された。
漏れ続ける、制御できない力。それこそ、同胞にも疎まれた最たる理由だった。今また、同じことを突きつけられているのか。いや、少なくとも疎まれてはいないだろうが、問題の根は変わっていない。
日が暮れた頃、ナミとこー君が分社に探しに来た。
「あっ、いた! ナミ、やっぱりここにいたよ!」
「えー、本当だ。悪さん、何してるの? ここ狭くない?」
改めてこー君を見ると、その大きさの違いに驚きを隠せない。自分がどうするべきなのかなど、まだわからないが、ただひとつわかっていることがあった。
「いや。今後、俺は昼間、外にいることにする。だから、その間、部屋はお前らが使え」
「お前ら……って、こー君とまーちゃんってこと? こー君は、今も自分の部屋みたいに使ってるけど、何で?」
「一応、対なんだろうが。あまりに大きさが違うのは、センスが悪すぎて見るに堪えない。それだけだ」
ニヤニヤ笑っているナミとこー君を置いて、本殿にある部屋へと戻った。まーちゃんが大人しく言うとおりにするかは知ったことではない。
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