2 飲んでしまったがゆえに…

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 翌日以降、昼くらいに部屋から出るのと入れ代わりに、こー君とまーちゃんが部屋で過ごし、俺は夕方、部屋に戻るという生活を送るようになった。最初はただブラブラしたり、触れた草木がどう変化するのかを確認していたが、ナミやまーちゃんの予想通りの結果を見ることになるだけだったので、すぐにやめた。代わりというわけではないが、どこまで行けるのか周辺を歩いて確かめるのが日課となった。どうやら神社を囲むようにある森、小高い丘の中腹までは行けるようだ。憶測に過ぎないが、人間の手が入っていない自然地帯が範囲だろう。それ以上に進もうとすると、何もないはずなのに体が進まず、空気に溶け込もうとしても範囲内に戻されてしまう。  1週間も経つと、明らかな変化が起こっていた。周辺の草木はまだ春を待つ姿をしているものの明らかに命の力を溜め込んでいて、その輝きが見えるようだった。あともう少し暖かくなれば、芽ぶいて新しい命をつむいでいく予感に溢れている。そして、まだ多少の差はあるけれど、まーちゃんも中型犬くらいの大きさになり、対らしくなっていた。  もうひとつ変わったことがある。学校が休みのときだけ、ナミが昼間の俺と一緒にいるようになった。外でウロウロしているとき、後ろをついてくるだけだが、「鳥が来てるね」など他愛もない話を独り言のように話している。特に返事を求めているわけでもないようで、次第にナミと歩くことが日常になっていった。  ある日、いつものように森の奥を歩いていたとき、後ろのナミが息を飲むのがわかった。 「あ?」  思わず振り返ると、怯えたような表情で数メートル先のほうを何度も指差している。ナミが指し示した方向には猪がおり、こっちを気にしているようだった。
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