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その後、まーちゃんも招集されて、人を呼ぶにはどうしたらいいかということについて延々と話し合った。神社として機能していない以上、祭りなどのイベントで人を募るわけにはいかない。何より、ここの存在を知らない人も大勢いるに違いない。いや、むしろそっちのほうが大多数だろう。こー君の話では、最近、たまに神社に気づいて、マジマジと見る人もいるとのことだが完全に少数派だ。
案として出たのは、まずは雑草や落ち葉を掃除して空気を淀ませない。気軽に「ちょっと寄ってみようかな」と思える雰囲気を目標にする。これは、ナミと狛犬たちが地道に行なうことになった。
「悪さんは、風と光を操ってください」
まーちゃんの発言に、眉をしかめて「は?」と聞き返す。
「神社においての風や光は神の存在、意向の表れでもあります。特に人はそのように感じることが多いです。自分たちはこの場自体を清めて、澄んだ空気を保つことに努めます。悪さんは、ご自身の力で風と光を使い、人が来たくなる気持ちにさせてください」
暴風でも吹き荒れさせて、神社に逃げ込むようにすればいいのか。そう、ぼんやりと考えていると、まーちゃんがぐっと顔を近づけてきた。
「な、なんだ」
「言っておきますが。暴風などで人を無理矢理追い立てるようなマネはいけませんよ」
「…う、それは…一番、手取り早いだろう」
「確かに、一度は神社に入るでしょうが、また来たいとは思わないばかりか、下手したら、この辺には近づかないでおこうとなりかねません。なので、自分から入ってみたい、また来てみようという気にさせることが重要です」
「風でか?」
「はい。光も使って結構ですよ。では、我々は掃除の計画を立てますので、これで失礼いたします」
まーちゃんは俺の返事を待たずに部屋から出て行った。こー君とナミも、こっちを気にしつつ後に続いて、いなくなった。
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