3 意図せぬ力

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 寒さよりも暖かさを感じる日が多くなってきた頃、ナミたちが設置したベンチに座って休む人たちも徐々に増え始めた。散歩中のじいさん、ばあさんが多かったが、たまに子供を連れた若い母親の姿も混じるようになり、ナミとこー君は大喜びしている。 「悪さんのおかげだよ。ありがとう!」  満面の笑みでお礼を言われても、これまでのような居心地の悪さは感じない。意図してやっていたからだろうか。それにしても、ナミは俺がどうして人を呼ぼうとしたのか覚えていないのかと疑問に思うくらい、手放しで喜んでいた。実際、ばあさんちには簡単に行けるようになり、俺を拘束しているモノは確実にゆるくなっている。いなくなるとは考えないのだろうか。
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