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「さて、魚屋はこれで良いとしてサラリー君の事も調べてある。もう一度、社会復帰する気はないのかね?」
「会社の事知ってるんですね。じゃあ僕がやった事も、、、、、、、会社の金を横領した事も知ってるんですね」
俯いた。それだけは知られたくなかったと、怒りに打ちひしがれるサラリーの拳は爪が食い込み拳が赤く滲んだ。
「知っている。そして君があの会社で一人戦っていた事もな、あの会社が潰れたのは君の所為では無いよ。自転車創業だったんだよ、だからこそ不正に補助金を受け顧客のお金にまで手を付けたんだ」
サラリーは会社の悪事を見つけ、何とか預かった残りのお金だけでも顧客に返還しようと会社の保管金を全額顧客に返したのだった。
「どんな理由であれやった事は犯罪です。それに私がそんな事をする権利も無ければ、それで喜ばれた人なんて本当に居たのかどうか。関係ないにしろその後に会社が潰れた事は事実ですし」
「固いのぅ。まぁええか、ワシあの会社嫌いだったし。そうそう、もし万が一仕事から人生やり直したいと思った時は、友達の所が何時も空きが有るらしいから、この名刺を持って行けばいつでも働けるからお守り代わりに持って行きなさい」
手渡された名刺は、最近の物なのかまっさらで綺麗な状態の名刺だった。そしてそれを見た瞬間サラリーは目を丸くした。
「此処って。最大手の会社じゃないですか!しかもこの名刺社長の、長老。貴方は一体」
「勘違いするんじゃないぞ。会社には確実に入る事が出来る。しかし、そこから再び出世をし会社を続けて行けるかはサラリーの仕事ぶり次第じゃ」
二人が見合うと、長老はもう何も答えなかった。背中を向けこれで終わりだと宴会の後始末をし、今まで住んで居たブルーシートを片づけると、振り返り最後にサラリーに声をかけた。
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