堕ちたる才が紡ぐ未来

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「官邸へ向かいますか?大臣」 「いや、まずはそうだな。スーパー銭湯でも行こうか、嫌がられそうだけど」  長老と名乗っていた老人は、髭を剃りスーツに着替え全くのスーパー銭湯で別人になったかと思うと、すぐさま車に戻り待っていた運転手の黒服男性に告げた。 「書類とデータは大丈夫か?ああ、だったらそれで良い、これからそっちに向かう。そう言えば久しぶりだったな”人生再生省”は滞りないか?」  運転手も相当のキレ者なのか全ての問いに対して的確に答えや書類を返していった。 「平常運転ですね。任期満了が無いんだし、救える人は救って行くんでしょう?変な省ですね」 「まぁな。色々条件は有るが世間一般に知らされていないし、大臣とは名ばかりの全く別の一つの企業に近いからな。首相直結なんだから文句言っても仕方なかろう」  極秘裏であるが故に、大々的に一掃できるような仕事ではなくなっていた。 「また髭剃ったんですか、伸ばしたままの方が雰囲気あったのに」 「お前は運転手の癖に無駄口が多いな。次行く人は浮浪者じゃないからな、さっさと急げ!今日も救済に時間は無い」  黒塗りの車は進む。その先の未来は明るいのか暗いのかさえ解らぬまま救済活動は続いて行くのだった。
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