記憶

4/4
前へ
/4ページ
次へ
 一方、こちらはメインコントロール室。精密装置が所狭しと立ち並んだ、近未来的な空間だ。  ここで、オペレータ達が会話を交わしている。 「動き出しましたよ! 見てください、すばらしい動きだ」 「おお、まるで本物の人間のようだ」 「本当によくできている。ロボットには見えないな」 「起動実験は大成功だ」  皆が感嘆の声を上げる中、一人の若者が、ぽつりと疑問を口にした。 「まるで意志があるみたいに見えますね。自我が芽生えたんじゃないでしょうね」 「まさか! いくらよくできていると言っても、所詮はロボットさ」  笑って答えた別のオペレータの声は、どこか不安げだった。  (了)
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加