第1話 大損と希望

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10月の初め、暑さが残る夜。 青年期を過ぎた男2人の会話。 「どれだけ携帯を見ても状況は変わらんがな。」 平井は向かいに座っている源田に向かって話しかける。 「30万円負けたんやで。これをどう払えっていうんや。」 源田は答える。 脳の中は混乱し気が狂いそうだが、顔の表情は作らことができる。 発せられる言葉は考えてのものか、反射のものかはわからない。 脳が理性を保つための働きというのは不可識だ。 壮絶な喪失感を味わったものにしか得られない体験。
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