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10月の初め、暑さが残る夜。
青年期を過ぎた男2人の会話。
「どれだけ携帯を見ても状況は変わらんがな。」
平井は向かいに座っている源田に向かって話しかける。
「30万円負けたんやで。これをどう払えっていうんや。」
源田は答える。
脳の中は混乱し気が狂いそうだが、顔の表情は作らことができる。
発せられる言葉は考えてのものか、反射のものかはわからない。
脳が理性を保つための働きというのは不可識だ。
壮絶な喪失感を味わったものにしか得られない体験。
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