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何か予感はあった。
気づかないふりをし続けて、願望が希望に変わるのを望んでいただけだった。
田中内あきら(たなかうちあきら)はふと我に返った。
不思議なもので、つい一ヶ月前に結婚を考えていた遠距離恋愛中の彼からの一言で三日三晩泣き続け仕事にもいけず近いうちに天国のじいちゃんに再会するだろうなとどこか他人事のように考えるくらい絶望の中生きていたのだけれど
今日の自分は普段通りだった。
人間てホントに不思議。
ホントに不思議。
今じゃちゃんと笑えるようになった。
赤の他人を羨ましくも嫉ましくも思わなくなった。
自分も他人も嫌いじゃなくなった。
なにか変化や気晴らしや出会いがあっての今ではなくてほんとに何もしないまま、気持ちの整理もしようと思わないまま、なんとか平気になってる自分がいる。
うん、私は私が思っているよりも弱くはなかったんだな。
そう、納得してあきらは毎日を過ごしていた。
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