ルドベキアに散る

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「そうとなったら、手始めにセラフィナス教会だ。お忙しいヴァーチャーさんはアポでも取らねぇと捕まらねぇだろうからな」 「もう少し待って下さい。まだパスタも、サラダだって残っています」 「門限過ぎたら門閉じられちまうだろ。さっさと飲み込め」 「最低でも、あと20分はください。先に店を出ても構いませんよ。僕はタクシーで向かいますから」 「俺がいもしねぇ神様のうんちく聞かされるのはキライなのは知ってンだろ!」 「いけませんね、ヨハン。末端と言えど、警察官が公共の場で他者の信仰心を否定するのは」 「テメーに、だけは! 言われたくねぇよ!」  鮮やかな緑の葉にオリーブのドレッシングが注がれる。スプーンとフォークは皿に盛られたそれらを、ゆっくりと混ぜ合わせていった。  ラジオは陰惨な事件の話題を忘れ、人々の歓声が聞こえてくる。苛立ち気にテーブルを叩く指だけが、淡々と台本を読み上げる音声に相槌を打っていた。
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