暗日

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「姫様、こちらが新薬になります」 姫様直属の執事が薬を姫様に手渡す。 「おい。こちらに来て薬の説明をせんか」 「はい。ただいま」 部屋の入り口近くに立っていた私は駆け足で姫様のもとへ向かう。その勢いのままひざまずき姫様にご挨拶をする。姫様にわかるように薬の説明をする。 「姫様。今回の薬は前回使用していたマンドラゴラの足首から手首に代えさせていただきました。これは発作の発言率が前回よりも低下するのと副作用であるめまいがなくなります。しかし効力が強くなるのでおなかをくだしやすくなるかもしれません」 一気にしゃべりかけたので姫様は特に興味もなさそうな顔をしている。 「もうよい。下がれ」 執事にそういわれ私は立ち上がり元居たところへ戻る。 その後、姫様が薬を飲んで急性の副作用はなく新薬のテストは終わった。ここからは経過を見つつまた実験とレポートに明け暮れる。 「カノン」 部屋を出ていこうと思った時、姫様に名前を呼ばれた。 「なんでしょう」 「散歩がしたい」 この城では病弱な姫様が外出するのには看護師の許可と執事の許可がいる。私の独断では姫様が散歩することは決められないのだが薬の作用を見るという名目でたまに出かけている。 「承知しました」 私は寝転がっている姫様に手を伸ばす。 「いつもありがとう」 姫様はその小さい柔らかな手で私の手を握った
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