暗日

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「外は涼しくていいのう」 「そうですね」 管理が行き届いた草木を目で負いながら散歩する。 「こんな日はかけっこでもしたくなるのう」 姫様は生まれつき体が悪い。病名はアストロジックシンドローム。心拍数が一定以上になると手先や足先から崩壊が始まりいずれは死に至る。完治の事例はいまだに見つかっていない。姫様に残された時間はあまり長くない。私が無能なばかりに姫様は明日にでも命を落とすかもしれない。 「あれはなんじゃ」 そんな私の心配はなかったこのように姫様は明るい声でしゃべる。姫様は少し欠けた人差し指で何かを指している。そこには黒い何かが周りの緑に溶け込めずにいた。 私たちはゆっくりとそれに近づく。 「魔鴉、ですね」 「生きているのか」 私は寝転がっている魔鴉を両手で拾い上げた。まだ温かい。 「まだ生きていると思います」 「ならばすぐに手当てせよ」 「しかし、場内の法令では魔物は発見次第、殺すことになっています」 私の中の何かが少し傷ついた。 「手当してくれないか。死を眺めるのは嫌だ」 姫様が悲しそうな表情を浮かべる。 「手当しなければ死んでしまうのだろう。私と同じではないか」 姫様の声が上擦る。 「承知しました」 なんだかやるせない気持ちになった。 私は姫様を急いで部屋に連れ戻し急いで看護塔に帰った。 魔鴉が倒れていた原因はただの栄養失調だった。人間とおなじ点滴で栄養が戻るのは不確かだったが点滴をすることに決めた。点滴をする場所を決めているとき鴉の足首に何かが巻き付いているのが目に入った。しかしそれを確認するほどの余裕はないので急いで点滴を行った。数分後心音、体温に安定が見られた。とりあえずは安心できそうだ。今の時間は皆外に出ていてこの塔のはいないが魔鴉をこのままここで看病するのは無理だとすぐに気が付いた。私はクリスが家に帰ってこないことを思い出した。必要最低限の薬と機材を雑にまとめてブランケットに魔鴉を包み急いで看護塔をでた。 家につくと一応クリスが帰ってきたときでも誤魔化せるように私の部屋で医療道具を広げ魔鴉に治療を施した。しばらくしたら心音と体温が安定したので私はその場に座り込んだ。 「とりあえず大丈夫かな」 私は魔鴉に必要な水を取りに行った。その水を鋭い嘴にコップ一杯分ほど入った点滴の管を入れる。私は先ほど気になった足首に目をやる。
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