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12時からお昼を食べて、12時45分にここを出発、1時15分にフォーレッドの滝を見て、1時35分までお土産を見て……、そして19時からディナー、20時半には出るわよ、明日も早いんだから。いいわね?」
「ちょっ、ちょっと、そんなにキツキツのスケジュールじゃ楽しめないんじゃ…。」
「何言ってるの?あんたが楽しめるように頑張って夜遅くまでたてたのよ!あんたはいつも何にもしないじゃない!もう、17歳になったのにほんと情けない。」
…それはママが過保護で何もさせてくれないから。そう心の中で思っても茜がその思いを口にすることはない。
「ほら、バスが来るからそっちの荷物持って!」
バスの窓からの景色でここが日本じゃないと実感する。
空港から一歩出れば空気すら外国だ。
このバスは私達が3日間泊まるホテルに向かっている。
いつもより高い所から見る人の群れは何だかすごく楽しそうで、
斜め前の方を見たらバスに乗っている他の国の人たちもみんな、笑っていてとても楽しそうだった。
楽しいときに笑うのは世界共通で、私達だけがその輪の中にいない。
正確には私だけが入っていないのかもしれない。
どこへ行っても、ママが隣にいる限り、やっぱりここは日本だった。
ママはさっきからガイドブックを見ていて、時折私に話しかける。
「ねえ、ここのご飯は安い割に評価が凄く良くてね、本当はここで食べたかったんだけど予約が取れなくて。」
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