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これは私が体験した不思議な出来事の話です。 それが起きたのは、夏の終わり頃の花火大会の夜のことでした。 私は誰とも花火大会に行く約束していなかったので、少しさみしい気持ちでいました。 でもわざわざ混んでいる会場まで行かなくても、私の家から5分くらい川に向かって歩けば、じゅうぶん花火が見える場所があるので、まあひとりでも良いかと思ったのです。 花火が上がり始めて、ドーン、ドンドンと大きな音が響いてきてから私は家を出て川の方に向かいました。 近所の人たちもちらほらと花火見物に出て来ています。 私は実家住まいなので、昔から住んでいる人たちとは顔見知りです。 私の知り合いというより、母の知り合いの方が全然多いのですが。 「あら~、お久しぶり~。お母さんはお元気?」 さっそく母の井戸端会議友達に見つかってしまいました。 この人は確かおしゃべりで有名な人だったのでは。 人の家のことを何故かよく知っていて、自分の家のことは自慢してくるのだと、さすがの母も苦笑いしていた人だったはずです。 内心の動揺を悟られない様、私はにこやかに挨拶を返しました。 「ひとりで花火見に行くの?あらそう~。まだあのデパートで働いているの?まあえらいわねえ~、うちの娘なんてね、あ、同い年よね~、もうさっさと結婚相手見つけちゃってね~、仕事は続けるなんて言ってるけど、でもねえ~」 止まらないおしゃべりに閉口しながらも、コンビニで買い物をするので、となんとか口を挟み母の友達から逃れることに成功しました。 少しさみしそうな様子が気になりましたが、きっと他の人を見つけてまたおしゃべりを続けるだろうと、私はコンビニへ入っていきました。 近所付き合いもたいへんです。
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