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世界から魔法がなくなってから数千年後。魔法がなくなっても人類は終わることなく続いていた。
とある民家の一室、一人の青年が母親に話しかけに来た。
「母さん」
「なーに?」
「母さんさ、昔俺がまだ小さくて、夜更かしばかりしていた時のこと覚えてる?」
「そんなこともあったわねー、懐かしいわ」
「あの時母さん、よく俺を寝るように言いつける時にイアンっていう悪い魔法使いの名前を出してたでしょ?」
「ああ、あの誰が言い始めたのかわからない昔話のようなものね」
「どうやらあれは本当のことみたいなんだ」
「……え?」
「科学が発達したこの時代。最近では資源が枯渇してきて世界中が困っている」
「……そうね」
「イアンが魔法を独り占めしたりしなければ、今も魔法なんていう夢みたいなものが便利に使えて世界中が資源不足で困惑するなんてことにはならなかったのに」
「でも、魔法なんてあるわけないって。あなた昔言ってたじゃない」
「いーや母さん、魔法はある」
「漫画の読みすぎよ」
青年は、ふっと少し笑みを浮かべ決意を固めたように固く拳を握りしめるとこう言った。
「俺がこの世界に魔法を復活させる」
一人の青年が運命の一歩を踏み出した。
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