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 図書館の前に着くと見知った顔が見えた。同じクラスの人たちだ。むこうもイアンに気がつき近づいてくる。 「おお、イアンじゃねえか。魔法も使えないくせに勉強かい」 「…………」 「いつもそうやって黙りやがって。お前が勉強したところでなんの役にも立たねえだろうが、どうせ魔法が使えないんだから。なあ?」  同じクラスの他の人たちがうんうんと頷く。そしてその中の五人くらいがなにをしようとしてかぞろぞろとイアンを囲んだところで少し遠くから声が聞こえた。 「お前ら、そこでなにをやってる」  声のした方を見るとアレンだった。どうやらイアンを助けに来るつもりのようだ。囲んだ連中に威圧的な視線を向けながらこちらに向かってくる。 「チッ、アレンか。……イアン、お前マナがどんなものかわからないらしいな」 「うん、わからないよ……」 「ほらよ! これがマナだ!」  同じクラスの喋っていた人がイアンにむかってバチンッと指を鳴らしながら勢いよく右手の人差し指を向ける。  ヒュンッと風が吹いた。 「…………うっ!」  なにも飛んでくるものは見えなかったが、物を投げたくらいの時間差でイアンの左目に痛みが走りイアンは少し後ろに弾き飛ばされた。 「ああ! 目がっ! ……くっ」  イアンは両手で左目を押さえながら悶える。 「おい!」  アレンが走ってイアンのもとにたどり着いた。イアンの目にマナを当てた人とその周りの人たちはこんなことになるとは思っていなかったみたいで、おろおろして慌てている。 「イアン! 大丈夫か!」  アレンが声をかけるもイアンはパニックになっており悶えたまま、まともな反応を返さない。 「おいお前たち! 救急を呼べ! 早く!」  アレンはおろおろしている同じクラスの連中に指示をだし、指示を出された連中はすぐに救急を呼んだ。悶えるイアンをアレンは落ちつけようと必死に声をかけ続けるもイアンはあまりのパニックにそのまま気を失った。
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