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「こーら! 早く寝ないとイアンに連れ去られちゃうぞー!」  とある民家の一室、小学校低学年くらいの小さな男の子が自分の部屋で夜遅くまでいつまでも寝ずに遊んでいると母親が注意しにやってきた。 「イアンって?」 「イアンっていうのはね、大昔にいたっていうとても悪い魔法使いよ」 「へー、とても悪いってなにをした人なの?」 「世界中の魔法使いを皆やっつけて、魔法を独り占めしたらしいわ」 「ふーん。どうせ作り話でしょ! 魔法なんてあるわけないんだし!」 「魔法なんて本当にあってくれたら便利なのにねー。聞き分けの悪い子を魔法で眠らせたりね?」 「へんっ! 残念だったねお母さん! でももう少ししたらちゃんと寝るよ、そろそろ眠くなってきたし」 「わかった。じゃあ早めに寝るのよ」 「はーい」  母親は子供の部屋から出ていき、子供はその少し後にしっかりと眠りについた。
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