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 授業が終わり休憩時間になるとアレンが話しかけてきた。 「イアン、なんでこんな簡単な魔法ができないんだ? ……あっ、いや、言い方が悪かった。別に馬鹿にしてるわけじゃないんだ。ただ……皆を見てるとわかるとおりこのくらいのレベルの魔法は、難しいとか以前の問題なんだ。言ってしまえば自然にできて当然、みたいな……。だから本気でなんでできないのかがわからない。よければそこを教えてくれないか、そしたらきっと俺が力になれる」  アレンはいい人だ。所謂エリートの部類なのだが、それを悪い意味で鼻にかけるようなことはしない。そして誰かが困っていることに気づくと助けようとする。この今のように。 「うーん……なんでって言われても……そもそも『マナ』ってなんなのさ、『魔力』だって」 「……えっ? あー……マナは……マナだよ。魔力だってそう……魔力は魔力だ……」 「全然説明になってないんだけど……」 「……そんな質問されたのは、初めてだったから……ごめん。俺の知識不足だ……本当にごめん」 「いや、いいんだ。けっきょく僕がおかしいんだよ……また授業で怒られる度に迷惑をかけちゃうかもしれないけどごめんよ」 「ああ、また他に何か困ったことがあったら言ってくれ。できるだけ力になるから」 「うん、ありがとうアレン」  イアンは家に帰ったら親にも魔法についての相談をしてみようと思った。
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