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「ただいまー」
「おかえりーイアン。ご飯できてるわよー」
「はーい」
この日の授業が終わり家に帰ってくると荷物を自分の部屋に置き、母親が用意してくれた夕食を食べにダイニングルームへ行く。椅子に座り「いただきます」と言うとご飯を食べ始めた。
「ねえ、お母さん」
「なーに?」
「なんで僕は魔法が使えないの?」
「……うーん…………」
「皆に比べて少しできないとかじゃないんだよ? 全くできないんだ」
「……なんでかは、わからない。あなたが学校に行き始めて魔法が使えないって初めて分かった日も、病院で診てもらっても何も異常はないって言われたし……」
「僕は皆が当たり前のように言うマナがわからない、魔力も。それが原因なんじゃないかな?」
「でもお母さんだってなんて説明したらいいかはわからないわよ? 目に見えるものでもないし……でも例えるなら、マナは空気みたいなもの。空気は見えなくても息ができる事でそこにあるってわかる。マナも魔法が使えることでそこにあるってわかるようなもの。魔力も腕の力と同じようなものよ。重たいものを持ったりする時に自然に腕に力を入れるように魔力も魔法をつかおうと思った時に自然に使えるの」
「……うーん…………」
イアンは母親の説明を聞いてもやはりあまりピンとはこなかった。皆にとっての当たり前がイアンにとっては当たり前ではない。それは確実だった。
夕飯を食べ終え「ごちそうさま」を言うとイアンは自室に戻る。ベッドに寝転がりながらあれこれ考え、明日は休日だし図書館にでも行って色々調べてみようと思った。
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