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一瞬、目が眩んだ。
よくよく考えたら、ガラスに反射した太陽の光が目に入っただけなのかもしれない。ただ、今の俺にはどうでも良かった。
学校の中庭にあるベンチに座り友達と仲良く会話する彼女の姿は、まるで絵画に描かれた美しい女性のように眩しく、輝いて見えた。
その姿から目を離せないのは何故だろう。いや、それも仕方がないのかもしれない。脈打つ心臓の鼓動が早まるのを感じて、自然と納得していた。
今、自分は人生初めての恋をしたのだ。俗に言う、一目惚れというやつなのだろう。
さて、どうしたものか。このまま見つめ続けていては変に思われてしまうだろう。早く離れなければ……と頭で考えてはいるものの、どうしてか身体は動いてくれなかった。
すると、あまりの熱視線? に気付いたのか、彼女が立ち上がりこちらにやってきた。
さらに早まる俺の鼓動。そして彼女は可憐な笑顔と共にーー
「さっきから何よジロジロ見て! 気持ち悪いからやめてくれない!?」
まさに全てが霧散する、問答無用の言葉を吐き出してくれた。
これが、俺ーー廣瀬湊(ひろせみなと)と彼女ーー日高有紗(ひだかありさ)の初対面だった。
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