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古風な大学ノートを持ち、彼らは大急ぎで階段を駆け上がった。 ―― 白衣の彼、村上慎一郎は、内線電話で彼のただ一人の助手を呼びだした。
「おはようございます博士。あれ、息切らしちゃって、どうしたんです?」
「床下に……ハアハア……大変な物を……ハアハア」
「何ですか、このノート……随分かび臭い……人工冬眠装置?」
「ハアハア……それが……何だか分からん装置が……ハアハア」
「床下に? ですか? 何ですか、このハッチ?」
「どうも、か、関東電気保安協会の……安斎です……いやー、びっくりしました」
「床下に、何があるんです?」
「樺島君も一度見るがいい……ハアハア……驚くから」
「何を今更、僕は何があったって驚きはしませんよ、ハハハ」
「いいから見て来給え……」
「ここから入るんですか? へー、こんな所にハッチが付いているなんて……」
「……」
「……」
『何じゃこりゃあああああ』
地下から、絶叫があがった。
「……ほら」
「……誰だって驚きますよ」
助手の樺島が、ゼイゼイ息を切らして、階段を駆け上がって来た。
「博士、あ、あれは何ですか! ど、どうして、あんなものが動いているんですか!」
「怒るなよ」
「怒っちゃいません、驚いているんです、何で今まで秘密にしてたんですかっ!」
「秘密にするも何も、私も初めて見た……恐らく私の祖父の仕業だ……」
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