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大発見!! 謎の巨大装置現る!!
白衣の彼は、指差された場所を丹念に見回した。そこには、床収納用の取っ手があるだけだった。
「こいつじゃないのか」
「これ、何に使うんです?」
「ごく普通の床収納だけど、別に冷蔵庫がついている訳でもなし」
「……お調べになった方がいいかも知れませんね」
「ここをかい?」
「はい、何か、漏電していては、火災の元ですからね」
「仕方がない」
白衣の彼は、中に入っていた乳白色のプラスチックケースの収納箱を表に出した。電力会社の彼も、重そうなそれを引っ張り上げることを手伝っていた。するとどうだろう。五十センチほど窪んだ床収納の中に、蝦茶色に塗られた鉄製のハッチが、その床面に現れた。
「なんだこれは」
「何なんでしょうねえ」
「……開けてみるか」
「え、ええ……」
扉の隙間の地下から、冷たい風が吹き上がってくるのを感じた。白衣の彼は、電力会社の彼に促されるように把手を握り、重そうな蝦茶色のハッチを開けた。そこにはセメント製の粗末な階段が地下へと続いていた。
「!」
「何てこった、階段じゃないか」
「僕、先へ行きます」
「待ちなさい。中に酸素があるかどうかも分からない。ちょっとだけ待っていてくれ。計測機器を取ってくる。私が戻る間に、他のブレーカーのスイッチを、全部入れておいてくれないか」
「わかりました」
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