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新月の巫女たち
「お姉さま。私は少し怖いです」
サラは巫女神殿にある祈りの塔の最上階で、姉のリーナと向かい合う。
まだ10歳の初潮を迎えていないその幼い身体は、白くて透き通る薄い腰布だけの姿だ。
「サラ、もう少しの辛抱よ。サラに月のものが訪れれば、私達の役目は終わるわ。そうしたら、また、お父様とお母様のもとへ帰れるわ」
15歳のリーナはそう言うと、ピンと張り大きくたわわに実ったその乳房にサラの両手を持っていく。
リーナは大好きだった両親のもとへは二度と帰れないことを知っている。
でも妹サラを少しでも落ち着かせるために嘘をつく。
太陰太陽暦でひと月に一度の儀式。
その儀式に失敗すると、次の新月まで地下牢に閉じ込められてしまう。
少しずつサラの震えが収まっていく。
2人は両手を合わせ、両膝をつくと、目を閉じて祈りの言葉を唱え始める。
やがて、2人の周りに、白く輝く小さな点がポツポツと姿を現し始める。
「精霊の光」
その小さな点はだんだんと大きくなるにつれて、あるものは赤色に、あるものは黄色にと七色の光をともして、2人の周りを、ハチドリのような動きをしながら飛び回る。
「妖精の踊り」
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