出会いと別れ

3/37
前へ
/37ページ
次へ
仕事がひと段落し帰路につこうとパーキングに向かい歩き出す。 キーシリンダーにキーを差し込み走り出す準備をする。 ジャケットのファスナーを一番上まであげ、イエロー一色のSHOEI Z-7を被り顎ひもをしっかりと締める。 この瞬間に自分の中でモードが切り替わる。 左手にグローブをはめ、2、3度拳を握ったり開いたりを繰り返す。 右手も同じことをして大きく深呼吸をして イグニッションキーを一番右に回す。 タコメーターが一番右に振り切れるまでいってから針はゼロを示す。 それを目で確認しセルモーターを回す アクラポビッチのマフラーから乾いた重低音がパーキング内に響く。 シートにまたがりハンドルに両手を置くと サイドスタンドを蹴りあげクラッチを握る。 間髪いれずに左足でシフトを上から蹴りおろし徐々に左手をはなして直4の心臓にパワーを与えてやる。 パーキングのスロープを駆け上がって夜の街並みへと。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加