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プロローグ
「おはようモニク。
新しい修道服、よく似合っているね。
こんな朝早くから花壇の水やりかい?」
ワタシは手にしていたジョウロを一旦下ろす。
振り向いて確認するまでもなく、今のはお父様の声だ。
「お父様。
おはようございます」
「おはようー」
「おはようー」
「いい天気ねー」
「そうねー」
「私たちお花には、雨と太陽が欠かせませんものねー」
「ちょっとあなたたち。
勝手にお話を広げないでください。
ワタシはお父様にご挨拶したのですよ?」
「いいじゃないかモニク。
せっかく、彼女たちは喋れる花に生まれたんだから。
好きにさせてあげなさい」
「そうねー」
「せっかく喋れる花に生まれたんですものねー」
「好きにさせてもらいましょー」
「うふふー」
「もう。
調子がいいんだから。
毎日毎日、誰がお世話してあげてると思ってるの。
これでも食らいなさい」
口封じとでも言わんばかりに、ジョウロの水を花壇にまいた。
スミレ色の花たちが「わー!」とか「きゃー!」と騒ぎだす。
水をもらえて嬉しいくせに。
「それじゃあ私は、孤児たちの朝食を用意してくるよ」
「いつもご苦労様ですお父様。
たまにはワタシが代わりましょうか?」
「いや、いいんだ。
モニクはいつも通り孤児たちの遊び相手をしてやってくれ。
そろそろ起きてくるだろうからね」
「分かりました」
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