プロローグ

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「おはようございます、シスターさん」 「おはよう、ございます……」  背が高い。  ワタシより一頭身以上ある。  ワタシが160あるかないかくらいだから、この人は180以上だ。 「ここの孤児院に勤めていらっしゃるのですか?」  黒髪のオールバック。  少し細めで面長な輪郭。  切れ長の目を細めて微笑みかけてくる。  年齢は、来年30になるワタシより少し上くらいだろうか。 「あの……はい。  えっと、何かワタシにご用ですか?」 「あなたにと言うよりは、そのお花にですね」 「あ……」  それもそうだ。  誰かがワタシなんかに興味を持つワケがない。  ましてや相手は男性だ。  お花なんぞに負けたとなると、さすがに悔しい気もするけど。  ほんのちょっぴりだけ。 「そのお花、今喋っていませんでしたか? 私の気のせいでなければ……ですけど」 「気のせいじゃないですよ。  このお花たちは喋るんです。  世界広しといえど、花が喋るのはここくらいだと思います」 「そうですね。  私も初めて見ました。  別段多くを見て回っていたりはしませんけども」 「ですよね」 「ああ、まだ名乗っていませんでしたね。  私とした事が失礼しました。  シスターさん、初めまして。  私は『バス』という者です」 「バスさんですか。  初めまして。  ワタシはモニクです。  あ、ワタシの名前なんて興味ありませんよね……?」 「興味がないなんてとんでもない。  名前は全ての人にとって大切なものですから」 「はあ」 「名前といえば、このお花は何という名前の種類なのですか?」
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